富士屋ホテル詳細調査 > 富士屋ホテル本館 > 11号室(元53号室)

51号室時代(1891-1964?)

ほぼ同じサイズのお部屋が本館に18室あった時代の一部屋。
中廊下を作った際に改番されたと考えられる。
わざわざ改番するのは宿帳管理の点でも面倒な部分があるだろう。
戦前に風呂が設置されていたが、中廊下を作る際に移動し、50号室に食い込む形になった。

53号室時代(1964?-2018)

5部屋あるデラックスツインのうち、おもて向きでちょっと広めのお部屋。
中央階段を昇り、左手に進んだ比較的近い場所に入り口がある。
昭和中期に改築された際の廊下にある扉のため、上に窓はない。
入って右手向こうに浴室がある。
入って左手は大正時代まで暖炉があった場所だが、すでに痕跡がなかったと記憶している。
中廊下型に改造した際、廊下と階段の位置関係がうまくいかなかったため、部屋が斜めに削ってある。
浴室は50号室部分に食い込むように設けてあり、ちょっと変な位置に入り口がある。

扉にある見取り図 猫足バスタブを備える

バスタブは今時珍しい猫足であるが、富士屋ホテルではメジャーな片側の丸いものである。ただ蛇口は壁付けタイプで、こちらは少し新しいものである。

窓側の小さな部屋は建設時には廊下だった部分で、天井の蛇腹は壁に突き刺さるようにして終っている。
ソファーが二つとテレビ、デスクが詰め込まれておりちょっと狭苦しいが、元廊下だから仕方ないだろう。
窓からは右手に50号室の飛び出た部分が見える。
本館の様々な改造が感じられる面白いお部屋である。
下写真は、ドレッサーの照明である。全く見かけない両口の白熱灯であり、珍しい。

11号室(2020-)

2部屋あるヒストリックハリウッドツインのうち片方。
今回の改装では耐震補強が施され、もともと200㎜前後だった壁厚もかなり増したようだ。
なるべく面影を失わないよう配慮されたため、ほとんど表面的に変化はない。
51号室に関しては廊下側の壁の形が変化し、入り口も移動した。
浴室が移動したのかどうかは、今後の調査で解明する。

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