Diatone P-610エンクロージャの制作

DSCF91346インチ半フルレンジスピーカーの名作の一つ、ダイヤトーンP-610。かねてより小型のエンクロージャに格納して、リアルな音質を楽しんできたが、さすがにフルオーケストラに対応させるには力不足、低音不足を感じていた。

P1030544根本的に6半のP610はフルオケを大音量で再生するようなユニットではないが、スペースの許す限り大きなエンクロージャに格納して、2A3インタステージシングルアンプで鳴らしてみることにした。(右は旧エンクロージャの写真)
DSCF9131設計はフリーソフトのspedを使用。エンクロージャの設計はフロントのサイドにポート開放部を設けたスリット型のバスレフとした。

sped p-610spedにP-610のパラメーターが無いので、色々と調べて登録。f特を見ながらポート解放部の大きさと長さをカット&トライで設計。バランスのよさそうな50Hz辺りで調整した。しかしこのspedというソフトは実に便利だ。旧エンクロージャの容積でもシミュレーションしてみると、何とも山形なお粗末な特性であることが分かった。

p-610早速製作に取り掛かる。材料の調達は悩んだが、結局近所のホームセンターで安価で重いゴム集成材の2cm厚の板に決定。

DSCF9073板取に合わせて若干サイズを変更し、図のような設計とした。カットは精度が必要なのでどうするか悩んだが、結局ホームセンターのパネルソーでのカットサービスを頼んだ。図面をきちんと書いて、精度を出したい旨注文。4cm程度までは重ねてカットできるとのことなので、細かくカットの順番を伝える。丁寧に作業していただいた結果、殆ど誤差の無いカットに仕上がった。材料費はカット代含めて延べ13000円ほど。安くついた。

DSCF9074組み立ては木工用ボンドで接着するのみ。ボンドは多めに盛る。板が大きく、しかも貼り付け時にボンドがにじみ出て来て動くので、ハルキに手伝ってもらう。外側にはみ出たボンドは塗装時に問題になるので、きれいにふき取る。天板は接着せずに仮完成。

DSCF9095スピーカの穴に手を入れて拍手すると独特の響きがある。これが箱の反射・共振音だろう。仮に吸音材を入れたりして試してみると、見事にこの反射音が収まるので面白い。

スピーカーを仮付けして、吸音材の調整に入る。吸音材はフェルトと自作の戸澤式レゾネータを用意した。レゾネーターはA4の紙を筒状にして両端を織り込んでホッチキスで止め、テトラポッド状にする。それを糸で3つ連ねた物を4つ制作。黙々とテトラポットを作る父を見て、ハルキは不思議そうな顔をしている。

DSCF9088特性測定はフリーソフトのWaveGeneとWaveSpectraを利用。PCのスピーカー出力とマイク入力の特性が良くなかったので、再生はUSBオーディオボード、マイク入力はONKYOのSE55SXを使った。防音室でスピーカーの前に40cmの地点にマイクをセットし、旧スピーカーボックス、新スピーカーボックスで吸音材なし、フェルト、戸澤式レゾネータ3個、戸澤式レゾネータ6個のパターンで計測。低音から高音までの連続音を大音量で何度も計測するので、普通の部屋では、なかなかできないだろう。

p601 old旧スピーカーボックスは低音こそ出ていないもの、特性の凸凹は少なく素性は良さそうなカーブだ。エンクロージャ内には戸澤式レゾネーターを、め一杯詰め込んである。中から古い雪印の牛乳パックが出てきた。1995年、18年前だ。日付が何と結婚した翌日のものだった。新婚早々からオーディオ趣味に走っていたのだろうか?それはイカンだろうと過去の自分に反省。

p601-none-new-2新スピーカーボックスで吸音材なしは低音の伸びが見られるものの、特性の凹凸と300Hz、1500Hz辺りでの大きな髭が見られた。

p601-wata-new新スピーカーボックスでフェルトの吸音材では特性の暴れが抑えられるが、髭は大差なし。1900Hz辺りに新たな髭が出現。どういったことなのかはパパには分からない。

p601-6-new-2新スピーカーボックスで戸澤式レゾネータ(6個)ではフェルトに比べると特性の暴れが出ているが300Hz辺りの髭はある程度押さえられているが中音域の1500Hzむしろ酷くなったように見える。また高音の9000Hz辺りでの落ち込みが大きくなる。

p601-6-new-2a3特性的には何も入れないのがよさそうだが、パパの耳では戸澤式レゾネータの方がクリアなサウンドで好印象だった。判断が付かないので、今度はアンプに2A3の真空管アンプを使って測定してみた。スピーカーのドライブ能力(ダンピングファクター)の違いなのか、同じ実験をしても違う結果となった。戸澤式レゾネーターでは特性の暴れが抑えられ、髭も改善されている。聴覚的にももっとも好ましく感じられたので戸澤式レゾネーターに決定。

尚、特性測定時にシングルアンプ特有の2次ひずみ(倍音)が見て取れたの面白かった。この2次ひずみがシングルアンプ特有の音色を作り出すらしい。真空管や回路設計によっても異なった出方がするみたいなので面白い。スピーカーの特性と二次ひずみの影響、なかなか奥深いアナログの世界だ。

DSCF9129DSCF9121あとは仕上げ。音出しの後に、また力仕事になるので、なかなか手がつけられなかったが、いつまでも部屋の中に放置もできないので決行。

荒い紙やすりで接着面の段差を削っていく。1mm以上あるとなかなか骨が折れる。削ったあとは細かめの紙やすりで全体をかける。その後強く絞った雑巾でふき取り下地は完了。

塗装は以前床に塗った蜜蝋ワックスを塗りこんだ。一つの面にスプーン2杯程度の蜜蝋ワックスを雑巾に付けて塗りこむ。白木には良く染み込む。やはり木工用ボンドの拭き取りが不十分だったところが斑になってしまった。接着面のボンドの削り取りは手を抜いてはいけない。仕上げは午前中の作業で完了。なかなかいい感じに仕上がったと思う。

DSCF9136いよいよ音だし。2A3トランス結合アンプに接続。このアンプ、音につやが出るのに15分程度かかるので、火を入れてからしばらくしてヒアリング開始。

やはり室内楽やピアノの音はリアルだ。コンサート会場の空気まで感じる臨場感。これは能率の良いスピーカーならではだろう。エージングが済んでいないのか、レゾネーターが足りないのか、若干高音域のザラツキを感じる。これは測定結果に出ている暴れの部分かもしれない。

また、さすがに低音の力量は増大した。しかし締まった低音(詰まった低音)ではなく、伸びやかな低音だ。これまで苦手だったフルオーケストラもソースによってはなかなか良く鳴らす。満足な結果となった。

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